- 蛭田 未央さん 1983年生まれ 茨城県在住
- 第1子/2009年11月生まれ/小6(男)
- 第2子/2013年5月生まれ/小2(女)
※掲載の年齢は取材時のものです。
ぷつんとキレて海に出た日
子育てしてて
一番つらかった思い出は
長男が幼稚園に入る前。
四六時中息子と一緒で
自分のことをやる時間もなく
外とのかかわりもなく
かといって
やりたいことがあるわけでもなく
けどエネルギーだけは
いっぱいあるっていう状態で。
専業主婦になりたくて
なったのに
ふと
なんで私、皿洗ってるんだろう?
家事やってるだけでは
終われない!と
日々悶々としていました。
本当は主人を
頼りたかったんだけど
外で働いてもらってるのに
申し訳ないっていう気持ちがあって
「やって」て
言えなかったんですよね~
息子のアレルギーに対しても
私がもっとメンタルを整えておけば
もっと大人だったら
もっとやさしくできたら
こんな風にならなかったのに・・・
と、ぜんぶ自分のせいにして
抱え込んでましたね。
でもストレスは日に日に
つのって・・・
ある日とうとう
爆発して
なんで私ばっかりー!!!
って、
海に出ました(笑)
その出来事が
しばらく息子の
トラウマになったみたいで
私が玄関に向かうと
息子がビビって
「お母ちゃんどこ行くの・・・?」
「大丈夫、お母ちゃん
どこも行かないから!」
って。
そのあともう一回
出ていったけどね(笑)
主人に頼む=負け!
ぷつんとキレたあと
主人に
「溜め込まないで
もっと小出しにして?
どう思ってるのか
言ってくれないと分からない」
と言われました。
でも、「やって」って
言えない!!
だって、
頼むこと
イコール
罪悪感と敗北感!
頼んだら私の負け!!
っなんだもん!
二人目の長女を
産んでからは
少し「やって」って
言えるようになったかな。
やりたいことを
やれるようになったっていう
こともあると思う。
最近は
少しずつアウトプットするように
気をつけてます。
「だいぶ小出しに
できるようになったね」
なんて主人に言われました。
やりたいことをやる罪悪感と使命感
私、何かを作るのが
やっぱり好きだったので
子ども向けのサークルで
図画工作をやったりしていました。
結婚してからも
ハンドメイドで
「ものを作る」ことは
やりつづけてきました。
でもその時は
主人のお金つかって
自分だけやりたいことやって・・・
っていう罪悪感が
大きかったな。
そのうち
自分の表現しようとしていることが
ハンドメイドでは
追いつかないと感じて
糸と針から
筆に持ち替えました。
2016年に描いた1枚が
きっかけで
やっぱり私は絵が描きたい!
と思って
そしてその絵を
見てほしい!!
っていう気持ちが
ムクムクと出てきたんです。
私の絵は
みんなに見てもらって
初めて成立する。
見た人が感じたことが
絵の答えだったりするので
『画家』というより
『メッセンジャー』って
名乗っています。
育ってきた環境の枠
ずっと実の母のことを
ロールモデルのように
見てきてたんです。
母は専業主婦で
父は会社員で
母は父をずっと支えてて
夜も寝ないで待ってるし。
結婚といえば
女は家庭に尽くす
っていうイメージで。
いまだ抜けきらないんですよね。
母はスゴイ人で
専業主婦ができない
私はダメな人
みたいな。
やっぱり
一番身近な人から
一番強烈な影響を
受けるんですよね。
専業主婦と会社員の
間で育った私には
それしか世界になかった。
でもいまの私を
子どもたちが見て
「母ちゃんは
好きに絵を描いて
ずっと家にいて
いいなぁ~」
って言います。
私は
「大人になったら
楽しいよ~」
って伝えたりして。
私がどう生きるかを
子どもたちは見てるんですよね。
ちなみに主人は
家族を養うために
高卒で就職するという道を
選んでる。
大卒じゃないと、とか
公務員がいい、とか
専業主婦でないと、とか
そういうことじゃなくて
色んな人がいて
色んな働き方があって
色んな世界があることを
知ってほしい。
自分の価値観を
子どもたちには
当てはめないように
したいって思います。
夫婦で
ふたり分の目方を持って
接したいです。
いじめ?近づかないほうがいい??
長男が1年生のとき
同じ登校班の
身体の大きな子に
ランドセルを揺さぶられて
怖くて泣いて
帰ってくることがありました。
身体が小さかったので心配で。
私は怒り心頭だったけど
本人はその子と
「遊びたい、仲良くなりたい」
って言うの。
私の中では
「そんな乱暴な子と
遊ばなくていいじゃん!」
って思ってたけど
主人に相談したら
主人も小さい頃は
身体が小さくて
ちょっかい出されてたタイプで
「お友だち同士の
バイオリズムもあるから
小さい頃から
経験しておいたほうがいい」
そりゃいじられたり
色々あるよ~
それでもし
いじめられたり
怪我したり
するようなことがあれば
俺が出ていくから
好きにやらせたほうがいい」
ってことで
モヤモヤしながらも見守ることに。
それからも
遊びに行ったり
来てもらったり。
結局、いまもよく遊ぶ
友だちになっています。
私なら絶対近づかないけど
そういう
子どものトライする気持ちを
大切にして
親が口出ししちゃ
いけないんだなぁって
思いました。
私が息子を
いかに信頼できるか?
試されてるんですよね。
愛情を注ぐことしかできない
子どもたちに
何があっても
乗り越えるだけの
パワーはあると思うし
それができるだけの
愛情はめいっぱい
注いできたから、
あとは自信をもって送り出す!
あーだこーだ
手を出したり口を出したり
したくなるけど(笑)
私自身学生時代に
実母とケンカしたときに
「学費出してあげてるのに!」
って言われてカチンときた
覚えがあって。
親は子を教育する義務があって
子はそれを受ける権利がある。
なのに!?
って腹が立ちました。
でも、いざ自分が親になると
色々手を出し過ぎてる
ところがあるのかなぁって
思ったりするけど
結局子どもには
『愛情を注ぐ』ほかに
できることはない!
父が他界した年齢
愛情を注ぐしかない
って言いながら
私はいつも
どうやったら彼らの
経験値が上がるか?を
ずっと考えてます。
主人にも
「四六時中頭が動いてる」
って言われるほど。
実父が42歳で他界したんです。
私はいま39歳で
父の年齢まであと少し。
生きてる間に
どれだけ彼らに
何をしてあげられるか?
と思うと
ダラダラしてるときの
主人の姿なんて見たら
「子どもが巣立つまでの
時間はすぐだよ!」
って、言ってます。
主人が寝すぎる件!
主人はとにかく寝る。
気づけば寝てる。
子どもたちが小さい頃
本当はミルクと母乳で
主人に協力してもらえるように
したかったんだけど
残念ながら二人とも
ミルクを受け付けなかったから
完母で育てました。
で、
赤ちゃんがいくら泣いても
起きないの!!
もぅ、信じらんない!!
つい最近の事件では
8月のある日
私が病院に行くからって
前日から
「明日は朝から病院だから
よろしくね」
って言ってたの。
当日の朝7時半、
主人も子どもも寝てる。
洗濯機はまわして
あわよくば帰ったら
干してくれてるかな~?
なんて期待しながら出かけて
10時半頃帰ってきたら
外に洗濯物は干してない。
もしや・・・
と思いながら家に入ったら
寝てる主人の横で
子どもたち二人が
汗ダラダラ流してるの!
その日はめちゃめちゃ
暑かったの。
そんなに汗かいて
なんでエアコンつけないの??
って言ったら
「だって父ちゃん
クーラーの下で寝てるから
冷えちゃいけないと思って」
って・・・!!!
もぅ、ブチンってキレたよー!
主人を叩き起こして
「子どもたちほったらかして
何寝てるの!?
昨日も80代のおばあちゃんが
熱中症で亡くなってるんだから!!」
それから子ども達に
「父ちゃんなんか
冷えたっていいから
自分たちの命守って!!」
って。
なのに
夕方もまた寝てたよ!
ほんと地雷踏んでくるんだよ。
寝てるくせに、踏んでくる!!
二度と来ない風景に泣けてくる
子育てしてて
良かったなぁ~って
思う瞬間は
手をつないでる時とか
ふたりの間に入って
添い寝してる時。
ほんとに幸せ。
これが二度と来ない
風景なのかと思うと
泣けてくる。
子どもって
自分が思ってたよりも
子どもじゃないんですよね。
生まれてきた瞬間から
息子も娘も
あ、私とは別個体だ!
って強く思って。
この子は私の体を
レンタルしてたんだな、
私の体を使って
出て来たんだなって。
じじばばになったとき
孫に対して
一生懸命にならないよう
いまを大切にしたいです。
好きなことをやっても家庭は壊れない
いま私は絵を描いてるけれど
以前は
私が好きなことを
やってしまうと
家庭が壊れると思ってました。
家の中がまわらなくなって
壊れるから
好きなことは
やっちゃいけない
って思ってた。
でも、
父が亡くなったあとに
ある方に言われた言葉が
心にずっと残っていて。
「やりたいことは
ずっと想ってたほうがいい
想いを絶やさなければ
必ず叶う」
って。
私は行きたかった美大も落っこちて
行けなかったけど
ずっと「ものを作る」ことは
やり続けてきたんですよね。
それで、
本当にやりたかった
絵を描くことに行きついた。
でも
家庭は壊れなかった。
こんな私を
ひとつのロールモデルとして
子どもたちの目に
映っていてくれると
嬉しいなぁと思います。
あ、あと
溜め込まないことは
大事です(笑)
蛭田 未央さん 素敵な子育てエピソードを
ありがとうございました!
エネルギーみなぎるアートを世に送り出しているメッセンジャー蛭田未央さん。その神々しい作品の数々とは対照的にフレンドリーなキャラクターで、ファンの心を鷲づかみにする。画家としてよりも「メッセンジャー」としての使命を強く感じながら、仕事に子育てに、まっすぐ懸命に向き合っています。
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