ちのねやすこさん

ちのねやすこさん写真
  • ちのねやすこさん 茨城県在住
  • 第1子/2006年11月生まれ/中学2年(男)
  • 第2子/2009年12月/小学5年(男)
    ※掲載の年齢は取材時のものです。

HSP専門Web/起業家支援コンサルタントHSP/HSCメッセンジャースペシャリストのちのねやすこさん。自身も自身の息子さんもHSP・HSCであることに気づき、同じような感性で悩んでいる人をサポートしたいと活動されています。システムエンジニアとしてや海外でのビジネス経験が豊富で、ワールドワイドな活躍に皆が勝手に期待を寄せる逸材です♪
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もうムリ・・・学校に行けない

私の中で普通の小学生の姿
というのは

朝起きて、
元気にご飯を食べて
元気に学校へ行って
元気に帰ってくる。

それが当たり前だと
思っていました。

でも、次男は
少しずつ変化していきました。


朝起きてから
ドヨンとしている。

ふだんは長男と一緒に
通っているのに
あとから出発して
途中まで行って帰ってくる。

長男と協力して
朝から
明るく楽しい雰囲気で
モチベーションあげて
がんばって学校に
行かせてた時もありました。

その頃私も
仕事をし始めたばかりでした。

なのに仕事中に学校から
電話が入るんです。

「いま保健室にいるので
 迎えに来てください」
と。

「どうしたの?」
と聞くと
「足が痛い」
と。
整形外科に連れて行くと
股関節の状態が悪いと
言われたので
治療することにしました。

股関節はすぐに治り
また学校に行くんですが
今度は
「お腹が痛い」と。

じゃぁ内科に行こうと。

それから毎日のように
あちこち痛いと
言うんです。


これはなんかおかしいなぁと
感じて
学校のスクールカウンセラーや
行政にも電話をして
聞いてみたりしました。

そんなある日
起きてきた次男が

「もうムリだ
 もう行かない
 体が動かない」
と、泣いたんです。

さめざめと、泣いたんです。

大人からの質問攻め

私としては
どうして行きたくないのか?
聞くしかないんです。

担任の先生からも
やっぱり質問攻め。

「いじめられてるの?」
と聞かれて
次男は一応
心当たりがあったので
「うん」と。

そうしたら
「なにがあったの?」
「だれに?」
と、犯人探しになりました。

「嫌なのは〇〇くんと
 〇〇くんと・・・」

いま思えば
ただ聞かれたから
答えてただけで
それが学校に行きたくない
原因ではなかったんですね。

先生も解決しようとして
必死ですから
なかば誘導尋問のような
感じでした。

次男が嫌な思いをした
相手の子たちは
謝ってくれましたが
それでもやっぱり
学校には行きたくない。

先生からは引き続き
質問攻め。

ある時から
「答えたくありません」
と言うようになりました。

口を閉ざした

担任の先生とお話した
二週間後に
スクールカウンセラーの
先生にもお話する
予約を入れていたのですが
カウンセラーの先生は
初顔合わせですから
また質問から始まるんですよね。

またイチから聞かれるんです。

次男は口を開かず
ただ座っているだけでした。

カウンセラーの先生からは
「とりあえず病院紹介するんで
 診断を受けてください」
と言われました。

病院は、
精神科と発達障害外来と
総合的に診察を受けられる
ところでしたが
予約から8か月待ちでした。

もともと過敏なところが
見えていたので
発達障害も
あったかも知れないところに
うつの症状が出てきていたので
発達検査を受けることに
なりました。

学校を含めて
大人たちは
子どもが
うつになる
なんて、
思ってもないんですよね。

普通に学校に行けなかったら
それはもう
「発達障害だ!」と
決めつける。

命の大切さ

次男の問題は
心が戻れば大丈夫と
まだまだ浅く考えていました。

それでも
行政の相談センターを調べたり
色んなところを探して
電話しました。
仕事もしながらでしたので
全部はまわれなかったし
私もかなり
疲れてきていました。

そんななか次男は
目を離すと何をするか
わからなくなりました。

マンションから
飛び降りようとしたり
包丁を持ってきたり。

そこまで追い詰めてたんだと
気づきました。

「とにかく
 生きていてほしい」

生きてることは
楽しいということを
教えるために
色んなところを
連れ歩きました。

自分の人生から
逃げてほしくない。

敏感な性質

気がまぎれたらいいな、と
思って連れ出すんですが
それが逆効果のときも
ありました。

家に帰ってきて
「ほんとにあの場所は
 嫌だったんだよ」
と言われたことも・・・。

少し元気になっては
また落ち込んで、を
繰り返しましたね。

一緒に過ごすことが
多くなって
次男の色んな感性に
ふれることがありました。

学校の先生は
「物をふりまわすな!
 大声を出すな!」
と言うのに
「先生もカメラふりまわして
 大声出してる」
とかね(笑)

大人が聞くと
偏屈のようにも
とれるようなことを
いつも気にしていたんです。

まわりの音にも敏感で
学校の中が
息苦しいとか。

そういう性質について
何か障害があるのか
調べていたときに
HSPにたどりつきました。

HSP(Highly Sensitive Person)・HSC(Highly Sensitive Child)とは、今5人に1人はそうだと言われる、生まれながらに強い感受性を持った人・子どものこと。

これは、
発達障害じゃなくて
性質なんだ。と知って
すごく納得して
ラクになりました。

いざ、検査の日

8か月待ちだった病院で
発達検査を受ける日です。

臨床心理士の女性の先生が
「君は学校で
 何か困ったことがあったから
 ここに来たと思うんだけど
 ここでは、何が苦手で
 何が得意かを見るだけだから
 安心して検査を受けてね
 いまから発達検査をしますね」
と言うと

次男がくるっと振り返って
怒りの目を私に向けました。

そして

「僕は困ってません
 困ってるのはお母さんです」

すくっと立ち上がって

「検査は受けません」

と。
いままで何も答えなかった子が
急にしっかりしゃべって
その迫力に私も先生も圧倒されて

「じゃあお母さん
 カウンセリングの予約
 いれましょうか」

ということで
月1回、私のカウンセリングが
続いています。
息子ではなく・・・(笑)

その時に臨床心理士の方から

「もしかしたら、
 次男君がお母さんを
 病院に繋いでくれたのかも
 しれませんね」

と言われたのが
印象的でした。

障害や枠にはめられたくない

発達障害とつけられることを
すっごく嫌がっています。
HSCというのも
「決めつけないで」
と言います。

何かカテゴライズされて
“普通じゃない”と
レッテルを貼られるのを
嫌がってるようです。

自分の存在が
お母さんを傷つけると
思ってるんですよね。

将来何になりたい?
という話をすると
「ふつうの会社員になりたい」
って、言うんです。

一番向いてない気も
しますが(笑)

いま5年生なので
中学校の話もします。
私が先に調べて
「こんな学校もあんな学校も
 あるよ。どこか
 いい場所があるといいね」
と言うと

「僕は今の友達と同じ学校がいい。
 僕をどこかに
 押し込めようと
 してるんだね」
と。

本能的に何か
危険を察知してるんですね。

担任の先生の理解

いま、放課後に
週1~2回学校に通ってます。

いままでは
学校に行っても
敷地に一歩入るのが
できませんでした。

先生とお話しても
「じゃ、次はいつ来る?」
と、先生も自分の安心が欲しくて
つい聞いてくるんですよね。

次男も、本当は自分は
そこに居なきゃいけないのに
と、プレッシャーを
感じていたように思います。

担任の先生とも
目を合わせて話すことが
できませんでしたが

いまの担任の先生は
「次男くん、
 そのまま変わらなくて
 いいから
 いつでも待ってるよ」
というスタンスで
待っててくれるので
次男も安心して話が
できるようになりました。

初回の面談で
目を合わせて話せたので
すごい先生だなぁって
思いました。

コロナ禍で元気に!

コロナ禍で学校が休校になったとき
次男はすっごく元気になったんです。

ドリルを開いてみたり
公園で運動してみたり。

他の子たちが外出できなくて
落ち込んでたときに
次男はみるみる元気になりました。

みんな学校に行けてないから
不登校の自分を
責める環境が
なくなったんですよね。

だから私も元気になりました。
行かなきゃいけない!
っていう呪いから
2人して解放されたんですよね。

これは
コロナが落ち着いてから
学校に行けるかもしれない!
と、本人も家族も
期待しちゃったくらいです。

実際、
行けませんでしたけどね(笑)

コロナのことで
社会的な常識とか
価値観とか概念が
すっかり崩壊しましたね。

ダメな親?

学校に行かないと
ろくな人生が待ってない
という呪縛を
親として
ずっと信じていました。

望みは?と聞かれたら
「普通に学校に
 行けること」
と、答えたと思います。

でもわが子は学校に行けない。

毎日答えの出ない疑問を
ひたすら
投げかけていましたね。

夫からは
完全に子どものことは
お任せされている状態で

「子どもがこんな
 状態なんだから
 仕事、ちょっと
 セーブしたほうが
 いいんじゃない?」
とかね。

ぜんぶ私一人でというのは
限界があります。

家事にしても
私は召使いじゃない!
って爆発しそうな時が
多々・・・
話がずれました(笑)


ある精神科医の先生のブログで
気づかされたことがありました。

精神科医なんて
連れて来られた子どもを
たかだか3分程度しか
話さないんだから
診断なんてできない。

その子を診断できるのは
“お母さんだけ”。

そして子どものエネルギー値
について書いてありました。

2、3歳~5歳の間が
100%のエネルギー値として
いま、あなたのお子さんは
どのくらい?と。

次男のエネルギー値は
そのとき、
ほぼ0%だと思いました。
何をするにもすぐ疲れて
ぜんぜん笑わない。
死んだ魚のような眼をしてる。

そういう
落ち込んだ気持ちを
つい引っ張り上げようと
してしまうのですが、
そうじゃないんですね。

ただ水と養分をあげながら
見守る。
そのままでいいんだよ~
とね。

そしてお母さんは、
子どもをなんとか
しようとせずに
まず
自分を楽しませるのが
先なんですね。

そのために、私自身は、
時間や場所に縛られない
仕事のやり方に行き着きました。

家から出られないと苦しいと
思ったのに、
逆に自由になっている、
という不思議。

これも子どもからの
ギフトかもしれません。

ちのねやすこさん 素敵な子育てエピソードを
ありがとうございました!