黒澤 美希さん

  • 黒澤 美希さん 1989年生まれ 茨城県在住
  • 第1子/2013年7月生まれ/小学1年/7歳(男)
    ※掲載の年齢は取材時のものです。

写真撮影協力:

発達障害のある息子さんを持ちながら、意欲的にお仕事をされている黒澤美希さん。発達障害児童の公的支援の不明瞭さや不安な親の立場を少しでも良くしたいという思いから、積極的に調査・発信することを心掛けておられます。

発達障害と世間

幼稚園入る前くらいですね。
ほかの子と比べると
歩くのもしゃべるのも遅いので
なんでだろう?と思い始めました。

支援センターなんかに行くと
ほかのママさんから
「うちの子はこんな感じで
 成長してるんですよ~
 そちらはどう?」
と話しかけられるんですが
その会話が怖くて怖くて
外に出られなくなりましたね。

子どもと二人で
家に引きこもって遊んでました。


1歳半健診では
「歩くようになりましたか?」
「何語しゃべるようになりましたか?」
って質問されるので
ごまかして答えましたね(笑)

3歳児健診ではさすがに
言葉が出てないのがバレて
ことばの教室というのに
通うよう言われました。
教室には通いましたが
あんまり何も変わらなかったですね~。

そうこうしているうちに
幼稚園のチャイルドクラブ
(未就園児教室)が始まって。
年少さんから幼稚園に
通わせる予定でしたので
慣れさせるために
通うようになりました。

結果、慣れることは
ありませんでしたけどねー(笑)

仕事に出て気持ちが軽くなった

子どもが幼稚園に入ってから
以前勤めていた会社から誘われて
パートに出るようになりました。

介護施設でのお仕事です。
これまで子どもと二人っきり
だったので
働きに出るようになって
とっても気持ちがラクになりました。

でも、息子はというと
相変わらずしゃべらないし
何を考えているのか分からない。

おもしろいことに
仕事でお年寄りの気持ちは
すごく分かるのに
息子の気持ちは
見えないんですよね。

保育園に断られる

働く時間を増やそうと思い
保育園を探したこともありました。
でも、
しゃべれない、歩きはじめが遅い
といった息子の特徴を言うと
「うちの園では受け付けられません」
と、何件も断られました。
託児所も断られたところがあります。

幼稚園は大丈夫なんですけど
保育園というのは
断られるんですよね。

唯一、
ある託児所さんに電話したら
電話口に出てくれた方が
「大丈夫だよ~
 一度連れておいで~!」
って言ってくれたんです。

救われました!

なので、幼稚園に通わせながら
仕事で帰りが遅くなるときは
託児所と併用して
息子をみてもらいました。

小学校に行きたくない!

息子は、大きな音や声に
敏感な性質があって
小学校に上がってからは
それが原因で
学校に行くのを嫌がるようになりました。

お友だちとのやりとりとか
お勉強とか
色んな原因はあるみたいですが
とにかく
毎朝学校に行くのをしぶります。

行きたくないなら
行かなくても・・・
と思うこともありましたが
放課後デイサービスの
支援員さんともお話をして

うちの息子の性格からすると
一度「休んでもいいんだ」と
思ってしまうと
きっと
「あぁ、もう勉強
 やらなくてもいいんだ~」
と思ってしまって
もう学校には行かなくなってしまう。
だから
できるだけ学校に
行かせたよう!
という考えになりました。

息子も信頼している支援員さんの
アドバイスでしたし、
私も同感の意見だったので
遅刻してもいいから
できる限り学校に
行くようにしています。

学校に着くまでが大変・・・

でもまたこれが大変で・・・

学校のある朝は
まず布団から起きてきて
そのままこたつへ直行。

夫に「おはよう」って
声はかけますが
もぐって出てこないんです。

それを引っ張り出して
学校へ行く気分にさせるんですよね。

「お散歩行くよ~」とか
途中でおもしろスポットを
見つけておいて
とにかく家から誘い出します。

どうしても歩けない場合は
車で行くこともあります。

それで、行く前にには必ず
学校にも電話をいれておきます。

そうすると学校の入り口で
教頭先生が待ってて
くれるんですよね。


それでも
どうしても行く気にならなくて
どうしようもないときは
ケアマネージャーさんや
放課後デイの支援員さんに
連絡することになっています。

ケアマネさんも支援員さんも
「無理だったら電話してね」
と言ってくれています。

「お母さんの心が折れたら
 いけないから
 折れないうちに電話してね」
と。

支援員さんに連絡すると、
家までお迎えに来てくれて
学校に連れて行ってくれる
ことになっています。

心強いです。

正直、
以前の私だったら
支援員さんに頼るなんて
できなかったと思います。

でもいまは
一人じゃ無理!
って、知ったから。
協力してくれる人が
いるっていうことを
知れたのはすごく大きいです。

放課後等デイサービスの選び方

息子は2つの放課後デイを
利用しています。

どちらもケアマネージャーさんに
提案してもらった場所ですが
これも、行ってみないと
分からないですね!

事業所によって、特色が違います。
リハビリメインの所、
クッキングが月に何度かあったり。

その子によって合う合わないは
あると思います。



あと、息子の場合
以前は宿題を残して帰ってきていました。
通常クラスと同じ内容で
同じ量の宿題が出ていたんですね。

学校への行きしぶりもあったので
病院の先生に相談したところ
改めて発達検査をすることに。
結果、5歳くらいの知能しかない
ということが分かりました。

検査結果を学校に提出して
主治医から言われたことを
支援学級の先生にもお伝えすると、
出される宿題の量と内容を
変えてくれたんです。

そうすると
私が仕事を終えてお迎えに行く頃には
宿題をきちんと終わらせて
帰れるようになりました。

夫との意思の疎通

息子の療育については
夫も協力的です。
病院に診断書を取りに行ってくれたり
休日は3人一緒に過ごします。

夫婦間で
「なんでも話せるノート」
っていうのを
夫が作ってくれたんですよね。

その日あったこととか
考えていることとか
書くと返事をくれるんです。

意思の疎通もとれてきたし
子育てに対して
とっても協力的に
関わってくれてると思います。

心が軽くなったきっかけ

他人に頼ることも苦手で
夫との意思の疎通もうまく
できてなかった時期は
つらかったです。

でもある時
HSP・HSCを題材にした映画上映と
講演会を聞くきっかけがありまして
そこから心がラクになったんです。

映画の冒頭から
涙が止まりませんでした。
ああ、私も主人も息子も
HSP・HPCだったんだなって。

そこで知り合った
主催者の方々とお話できたことで
色んな人と
出会うこともできました。

みんなとっても明るくて・・・
本当に参加してよかったと思います。

※HSPとはHighly Sensitive Personの略(HSCはHighly Sensitive Child)5人に1人の割合で見られる”非常に感受性が強く敏感な気質”の人々のこと

色んなところに顔を出して
色んな人の意見を聞いたり
お話するっていうことは
大事ですね!

黒澤美希さん 素敵な子育てエピソードを
ありがとうございました!